化学療法

抗ガン剤 CMF療法 を受けて


夏休みが終わって 子供達の 学校が 始まり 家の中は少し 静けさを取り戻した。
私は 夏の間 放射線治療を 休まず受けることができたことで 少し自分に自信を持つことができた。
ただでさえ暑い夏の盛りに 5週間もの治療を 受けられたのだ。 案外まだ 体力も のこっている。

不安に思うのは 抗ガン剤の副作用である。
乏しい私の知識でも 抗ガン剤は 吐き気や脱毛倦怠感等の 副作用が強いものだと知っている。
救いは主治医から 通院でも対応できる程度の 副作用だと 聞かされていることと 個人差があると いうこと。
私は きっと大丈夫と 自分に言い聞かせて残暑厳しい9月10日 重い足を ひきずるように 病院に向かう。

診察の後 いっそう重い足取りで 点滴室に移動。
今日は 長い時間を 覚悟の上で CDプレーヤーを娘に借りて 大好きなサザンのCDを 入れてきた。
せめて 優雅に音楽を聴きながら 時間をすごそう。

最初の点滴は 吐き気止め。小さいサイズなので 30分ほどで 終了。
次はレギュラーサイズが2本。

始めての化学療法なので 看護婦さん達が とても気遣って下さる。少しゆっくり 点滴を 落としていく。
落ちていく一滴一滴を 見上げながら 「どうか どこかにガン細胞が残っているのなら 見つけて 退治してください。私 ガンなんかに負けたくないの」と 心から祈る。

2本目の点滴を始めた頃 ドアが開いて 点滴を受けられる方が 入っていらっしゃった。
私よりはるかに お若いかわいい方で 軽く会釈をして 点滴台に 横になられた。
私も 一人で淋しかったので お連れができて うれしかったが 看護婦さんが 持ってこられた 彼女の点滴を見て はっとした。
看護婦さんが 手に持っていらっしゃったのは 私と同じ 点滴・・・。

その方も私の点滴に 気がつかれたのか「今日から 抗ガン剤を はじめるのですが 怖くありませんか?副作用とかは ありますか?」と聞かれた。
私が 慣れた様子で 点滴を受けていたので 先輩だと おもってくださったようだ。
「じつは 私も今日からなのです。年の違う 同級生ね。卒業まで がんばりましょう よろしくね。」と お答えした。

問わず語りに お互いに 治療の不安や病状などを 話し合った。
なにしろ 2時間以上もこの点滴室に 缶詰にならなくては いけないので お話相手ができて そして 彼女が かわいい方で とても うれしかった。
始めの不安も お話に夢中で すっかり忘れていた。
やはり 女性になくてはならないものは おしゃべりだろうか?

抗ガン剤の副作用については 点滴を受けた当日は 吐き気止めの点滴のおかげで 結構元気に過ごすことができたが 2日目3日目は だるさと胃の不快感(空腹時の方が気分が悪い)が続き 5日目以降は 平常にもどる事が できた。
先生から吐き気止めの飲み薬も いただいたが 私は一度も服用しなかった。

しかし 3クール目に 入った頃から 肩こりと 動悸に悩まされ 内科で 心臓の検査等も受けたが 不快感は 収まらなかった。
抗ガン剤との直接の関係は なさそうだったが ホルモン療法による 更年期症状の ひとつと 思われた。
それまでは ホットフラッシュ(のぼせ)と 呼ばれる症状に悩まされていたのに その症状が軽くなったと思ったら 次に動悸が 始まったのである。

クリスマスも近づいた12月17日 夜中に 息苦しさで目覚める。
動悸と胸の圧迫感があり 息苦しい。
主人を起こして 病院に向かう。そのまま緊急入院になった。
やはり心臓に 異常は認められなかったので 安定剤等での 治療になった。
パニック症候群の ようなものかも 知れない。
しかし やはり 抗ガン剤によって 体を痛めていることに 変わりはない。

2000年を向かえ始めての受診日。
当初6クール受ける予定の抗ガン剤を 3クールで中止する事に決定。
3クール受けたことで どれだけの効果があるのかは わからないが 先生と 話し合ってこれで やめることにした。

あとは4週間に一度のゾラデックス注射と 抗ガン剤タスオミン(タモキシフェン)それに今は 鉄剤安定剤等を服用。

乳ガン完治まで10年。
その時 次女は 20才。
長い長い治療の日々 厳しいことも きっとあるはず。 

でも 私の人生 主役は私。
5年生存率 10年生存率等と 言われるが 人間の死亡率はみんな平等に 100パーセント。
永遠の命を 手に入れることができないのなら 最後の一瞬まで 思う存分生き抜きたい。

キラキラと輝いて


あとがき

長い間 お読み下さって ありがとうございました。
今 乳ガンと診断される女性は 年間3万人に のぼっていますし 女性のガンのトップは 乳ガンと言われています。しかし また 乳ガンは 自分で 見つけることのできる病気でもあります。
ぜひ 検診を お受け下さい。そして 運悪く 発病したとしても 日々進歩する医学は よりよい有効な治療法を 約束してくれています。おそれず あなどらず 生き抜いて いのち輝かしましょう。

 


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〜いのち輝いて 乳がんと共に〜